2025.11.07 NEW!!第9回栄養教諭食育研究大会が開催されました
2025年11月2日(日)滋賀県彦根市において第9回栄養教諭食育研究大会が開催されました。
【大会概要】
テーマ:エビデンスを創出できる栄養教諭を目指して
開催日:2025年11月2日(土)
会 場:滋賀県彦根市「ひこね文化プラザ」
【特別講演】
「栄養不良の二重負荷を乗り越えるための二重責務行動としての給食の考え方」
神奈川工科大学健康医療科学部 特任教授 饗場 直美
「世界的視点から学校給食に求められるもの」と題された講演では、世界的に課題となっている「過体重(肥満)」と「低栄養(やせ)」の二重負荷の解決に向け、WHOからも「二重責務行動」が提案されていることが紹介されました。その中で、学校給食は重要な役割を担う取組の一つとして位置づけられています。特に日本の「食育」に基づく学校給食は、世界中からゴールデンスタンダートとして注目されていることも紹介されました。一方で、日本の学校給食にも課題があり、世界的にみても食塩摂取率の高い点が指摘されました。食の嗜好を減塩志向へと変えていくためには、食育の充実が重要であり、その目標は食行動のより良い変容と行動にあること。そして、それを支えるのが栄養教諭の責務であると、熱く語られました。
【研究発表】
鹿児島県「学校における食育及び栄養教諭による指導を受けた経験が短大生の食意識・実態に及ぼす影響」
発表者:鹿児島女子短期大学 児玉 むつみ
広島県「給食の時間の実態と教員の意識・指導の実態」
発表者:広島市立三篠小学校 井上 博子
島根県「中学生の減塩に関する知識と意識・食行動の実態2」
発表者:奥出雲町立横田中学校 佐伯 絵美
福島県「福島県における栄養教諭による食育推進の変化」
発表者:いわき市立平第一小学校 新妻 祐美
滋賀県「小学校における減塩指導による効果の継続性」
発表者:彦根市立旭森小学校 藤原 尚美
滋賀県「児童への減塩指導における家庭の意識と波及効果」
発表者:湖南市立岩根小学校 日高 佐緒里
【講評】
神奈川工科大学健康医療科学部 特任教授 饗場 直美
【ポスター発表】
「食事内容の実態把握とウェアラブル端末を利用した健康経営の取組について」
発表者:静岡県袋井市 石塚 浩司
それぞれの論文に基づいた6件の研究発表が行われ、いずれの発表からも、学校での食育の取組が家庭にも広がり、児童生徒の発育や成長にも大きく影響を及ぼしていることがエビデンスにより裏付けられ、明確に示唆されていました。改めて、食育を柱とした学校給食の社会的な役割と意義を実感する内容でした。最後に饗場特任教授からは、「自らの疑問」を研究会で共有することの重要性や、継続的な研究によって会の目指しておられるエビデンスを創出していくことが、他の教諭や保護者からの信頼につながり、児童生徒の成長にもつながるとの熱いメッセージで締め括られ、受講者にとってはたいへん学びの多い充実した会となりました。
米田 孝徳 記
▼栄養教諭食育研究会のホームページはこちらです
https://eiyokyoyu.jp/